高槻のマスク児童死亡「着用有無、特定できず」事故調査委報告

 大阪府高槻市立小で2月、5年の男子児童が体育の授業中に倒れて死亡した問題で、市教委は24日、外部有識者でつくる学校事故調査委員会(委員長・大川尚子京都女子大教授)による報告書を公表した。児童は新型コロナ感染対策でマスクを着用していた可能性があったが、報告書は特定できなかったとした。さらにマスクを着用していたとしても、死亡に至るとは考えにくいと結論づけた。

体育授業で走っていた小5児童が死亡 マスク着用か

報告書によると、児童は2月18日朝、グラウンドで5分間の持久走をしていた際に突然倒れ、病院に運ばれたが死亡した。児童は走る前にマスクを着けていたとみられ、教諭が駆け付けた時はマスクはあごにかかっていたという。

「着用していても死に至るとは考えにくい」

学校が同級生31人に実施したアンケートでは、亡くなった児童がマスクを着けていたかどうかは「ずっと着けていた」(5人)と「途中で外した」(6人)で証言が分かれた。調査委は日本小児科学会に依頼して医師の意見を聴取。持久走は無理のない速さだったことなどから「マスクを着けていても一般的に直接の死因になるとは考えにくい」との見解を得た。

死因については特定しなかったが、大川委員長は記者会見で「教師の指導方法などを含め、事故の原因となり得る瑕疵(かし)は見受けられなかった」と説明した。

「結論ありきの報告書だ」遺族批判

児童の父親(44)は公表を受け「結論ありきの報告書だ。調査委員は3人だけで医学の専門家はおらず、調査期間も5カ月しかない。納得のできる調査をしてほしかった」と批判。市教委に調査への参加を求めたが断られたといい、

「現場にいた教師らの話を聞きたかった。他の子供たちを被害者にしたくない。息子の死因を独自に調べていきたい」と語った。【高橋昌紀】