(細川外科クリニック・細川秀一院長)
「これが(陽性者の情報を)打った人の発生届になります」
ここでは新型コロナの診断も行っていますが、感染者が見つかった場合、オンラインで国に詳細なデータを送ることになっています。
その一つが「ワクチンの接種歴」。
打ったか、打っていないか、
打ったなら、いつ打ったのかを調べることになっていますが、打った日付についてはおよそ半分の人が覚えていないと言います。
(細川外科クリニック・細川秀一院長)
「これが4月の1か月間。(陽性者30人中)15人は打ったと言っているが、日付がわからない人」
厚生労働省が感染者のワクチン接種歴を調べる目的は、ワクチンを打っていても感染する、いわゆる「ブレイクスルー感染」がどのくらいあるのかの実態調査です。
これは2022年4月はじめの10万人あたりの新規陽性者数。
赤は未接種者、青は2回接種済み。
赤の未接種の新規陽性者が多くなっていて、打たないと感染するという印象がより強くなる結果となっています。
ところが、このデータの扱いに根本的な問題があったのです。
(名古屋大学・小島勢二名誉教授)
「接種したかどうかデータが不十分な場合に関しては、厚労省は未接種者として分類して計算していた」
最初にこの問題を指摘した、名古屋大学の小島名誉教授。
厚労省はワクチンの接種日が分からない場合、すべてを「未接種」、つまりワクチンを打っていない方に分類していたのです。
これだと、ワクチンを打たずに感染した人が実態より多くなります。
指摘を受けた厚労省は4月11日の週から、接種日が分からないケースを「接種歴不明」に分類するよう変更しました。
すると。
(名古屋大学・小島勢二名誉教授)
「4月11日からは(未接種者と2回目接種済みでは)感染予防効果が変わらないという話になってしまった。例えば、40代、60代、70代だとワクチンを接種した方が感染が起こりやすいということになった」
未接種の新規陽性者数が減って2回接種済みと同じくらいになっています。
年代によっては2回接種済みの方が多い場合も。
そして、「接種歴不明」の人の割合が20%近くも増えました。
CBCの取材に対し厚労省は「意図的な分類ではなかった」と答えましたが、結果的にワクチンの効果を高く印象づけることにつながっています。
(後藤茂之厚労大臣)
「ワクチン接種歴が未記入の方について、厚生労働省が未接種に計上し感染研が接種歴不明に計上していたと。それを厚生労働省の資料においても感染研と同様に接種歴不明として取り扱うことといたしましたけれども、この接種歴不明をどういうふうに扱っていくのかによって、データの読み方が変わるというご指摘、ちょっと詳しい内容までは私も捕捉しておりません」
この問題は国会でも取り上げられ、ネットでも拡散。
するとこの人が。
(河野太郎前ワクチン担当大臣)
「厚労省のデータ改ざん。ワクチンの登録が間違っていて、反ワクチンの人たちに使われていますけど、データを直したとしてもワクチンの有効性が極めて高いことには何の変わりもありません。反ワクチンのデマを流して、他人に打たせないというのは、極めて問題あることだと思っております」
河野太郎・前ワクチン担当大臣は反ワクチン論者が騒いでいると批判。
そして官房長官の会見でも質疑応答が。
(記者)
「ワクチンを打っている人の一部が未接種扱いになっていたことが、CBCニュースさんの取材で明らかになりました」
(松野博一官房長官)
「接種日が不明であっても“ワクチン接種歴あり”と届けられた事例については、従来より“接種済み”と扱っており、“接種している”と届け出があった方を“未接種”として取り扱ったものではありません」
焦点は、ワクチンを打ったのに未接種にしていたのかどうかです。
分類は、接種済、未接種、接種歴不明の3つ。
松野官房長官は、接種済みで接種日が未記入だった人は、従来から「接種済み」に分類していて、ワクチンを打ったのに打っていないことにはしてないと話しました。
未接種に入れていたのは、接種そのものが不明な人だと言いますが、そもそもその人は、はじめから接種歴不明に分類されているはずで官房長官の発言には疑問が残ります。
こうした中、自民党の広報本部長でもある河野前大臣は自身の公式ホームページで改めてこう書きました。
(河野太郎前ワクチン担当大臣の公式HP)
「厚労省は、未記入の場合、未接種に分類していました。ワクチン接種が進むにつれ、接種歴のある人が未記入の中にどんどん増えていきます。HER-SYS情報の点検とアドバイザリーボードの議論の結果を待ちたいと思います」
ワクチンを打っても、接種歴不明なら未接種に分類していたと、この問題を指摘し直したのです。
そして6月14日、後藤厚生労働大臣は改めてこの問題について…
(後藤茂之厚労大臣)
「資料の解釈に際しての留意点などについて、十分なご説明ができていなかったことについては、国民の皆様に率直にお詫びしたいと思います」
不適切な分類だったと陳謝したのです。
どちらにせよ、ずさんだった厚労省のワクチンデータ分類。
ではデータの厳密な扱いをはじめたのか。
現場の医師に改めて聞くと
(細川外科クリニック・細川秀一院長)
「(Q厚労省から要請あった?)全くそれはないですね。うちの診療所は名古屋の中でも陽性者たくさんいて検査も治療もする。一切連絡がない。我々の今のレベルでは厚生労働省が出したデータを一応信じるしかないですね。おかしいよねと思いながらも、信じるしかないのが現状だと思います」
2022年6月16日放送 CBCテレビ「チャント!」より
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