英国ではオミクロン株拡大による医療体制のひっ迫を受け、軍が病院に配備される事態となったPhoto: Chris J. Ratcliffe / Bloomberg
直近1週間の平均感染者数が約17万人と、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない英国。そんな英国で「新型コロナウイルスをインフルエンザのように扱うべきだ」という議論が巻き起こっている。
英政府直属の感染対策機関「ワクチン・タスクフォース」の元議長クライブ・ディックスは「今回のブースター接種以降の集団接種をもうやめるべき」だと発言し、英「ガーディアン」紙は大々的に報じている。
同氏は、今後現れる変異株に対して免疫的に脆弱な人たちのためにワクチン開発の研究を進めるべきだとし、次のように述べる。 「現在、私たちに必要なのはこの病気の管理であり、重症化する人たちを減らすことが今後の目標です」 ディックスは英政府に対し、既存の感染対策について見直すことを求め、過去2年間のアプローチとは異なる「ニューノーマル」を打ち出すべきだとしている。
新型コロナウイルスの認識に関連する免疫システムの一部「メモリーB細胞」や「T細胞」の生成にどれだけワクチンが寄与しているかを分析し、特に60歳以上の高齢者や基礎疾患を持つ者を対象に研究できるような体制が必要とも語った。
「ニューノーマル」に向かう“一筋の光”かも
前出の「ガーディアン」は、今回のオミクロン株が「コロナとの共存に向けた“一筋の光”かもしれない」と題した記事も掲載。英政府パンデミック・モデリング・グループ「SPI-M」のメンバーであるマイク・ディルデズリー教授(英ウォーリック大学)の発言などを掲載した。
「将来的にはより重症化リスクの低い変異株が出現するかもしれません。これは、私たちが長年付き合ってきた風邪によく似ています」 だが、入院患者数は1年ぶりの高水準を記録していることをうけ、「まだコロナが風邪のような存在になる段階には至っていない」とも付け加えている。
英国では過去1週間で介護施設の4割が新規の入所受け入れを停止。多くの医療スタッフが感染のために隔離され、「国家的緊急事態」に陥っていると指摘する国内専門家もいる。すでに他国でのオミクロン株拡大の様子を目の当たりにしてきた日本だが、国内の感染者が増加するいま、どのような対応を選ぶのかが問われている。
COURRiER Japon
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