米ファイザー オミクロン特化ワクチン治験開始

ファイザー製の新型コロナウイルスワクチン

【ニューヨーク=中山修志】米ファイザーは25日、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」に特化したワクチンの臨床試験(治験)を始めたと発表した。世界で感染者が増加しているオミクロン型に特化したワクチンを早期に実用化し、感染抑制につなげる。

 臨床試験では、18歳から55歳を対象に投与する。1420人の参加者を既存ワクチンの接種の有無と回数によって3つのグループに分け、感染抑制や重症化リスクの低減効果を調べる。有効性や安全性など効果が確認でき次第、米食品医薬品局(FDA)に緊急使用の承認を申請する。

 同社のワクチン開発責任者は「既存のワクチンがオミクロン型の重症化リスクを抑えることは明らかだが、追加接種の効果が低減する場合に備えて新たなワクチンの開発に着手する」と説明した。

 同社のアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は10日、製薬業界の国際会議で、早ければ3月にもオミクロン型に特化したワクチンを準備できる見通しを示した。ファイザーとワクチンを共同開発する独ビオンテックはこれまで、2022年に40億回分のワクチンを生産する見込みだと発表している。新たなワクチンの生産が必要となった場合も、生産能力は変わらないとしている。

 米バイオ製薬のモデルナもオミクロン型に特化したワクチンの開発に着手しており、近く治験を始める予定だ。