フィギュア全日本【最終日 結果】優勝 羽生結弦 北京五輪内定

フィギュア全日本【最終日 結果】優勝 羽生結弦 北京五輪内定


2021年12月26日 23時42分

 北京オリンピックの代表選考を兼ねたフィギュアスケートの全日本選手権は最終日の4日目。ペア後半のフリーに続き、男子シングル後半のフリーが行われ、羽生結弦選手は冒頭の4回転半ジャンプこそ両足での着氷となりましたが、そのほかのジャンプやスピンを大きなミスなく決めてフリーで211.05、合計で322.36をマークして2位に20点以上の差をつけて2年連続6回目の優勝を果たしました。
男子シングルは羽生選手と2位の宇野昌磨選手、3位の鍵山優真選手が北京オリンピックの代表に内定しました。
最終日の各選手の成績などをお伝えします。

【男子シングル フリー結果】

 羽生選手は、演技の冒頭に世界で誰も成し遂げていない4回転半ジャンプ(=クワッドアクセル)に挑みましたが、回転が足りずトリプルアクセルと評価されたうえ、両足での着氷になったため出来栄え点を獲得できませんでした。しかしその後の演技は4回転サルコーをほぼ完璧に決め、演技の後半には、4回転トーループからの連続ジャンプ2つをミスなく着氷するなど着実に得点を重ねました。
 宇野選手は自身にとって過去最高難度となる4種類の4回転ジャンプ5本を跳ぶプログラムに臨みました。冒頭の4回転ループと続く4回転サルコーは決めましたが、4回転トーループからの連続ジャンプが単独となるミスがありました。その後は「ボレロ」の曲にあわせて、力強く滑りきり、フリーは193.94で自己ベストを更新する合計で295.82をマークしました。
 鍵山選手は冒頭の4回転サルコーを決めるとショートプログラムでミスがあった4回転トーループからの連続ジャンプも決めました。このほかのジャンプも大きなミスなく決めて映画「グラディエーター」の曲にあわせて表現力豊かに滑りきりました。
<男子シングル 総合成績>
1位 羽生結弦
総合得点322.36(フリー得点211.05、SP得点111.31)
2位 宇野昌磨
総合得点295.82(フリー得点193.94、SP得点101.88)
3位 鍵山優真
総合得点292.41(フリー得点197.26、SP得点95.15)
4位 三浦佳生
総合得点276.16(フリー得点183.35、SP得点92.81)
5位 友野一希
総合得点263.67(フリー得点175.88、SP得点87.79)
6位 三宅星南
総合得点252.82(フリー得点162.30、SP得点90.52)
7位 佐藤駿
総合得点252.13(フリー得点164.86、SP得点87.27)
8位 山本草太
総合得点240.18(フリー得点146.39、SP得点93.79)
9位 壷井達也
総合得点235.21(フリー得点157.90、SP得点77.31)
10位 島田高志郎
総合得点233.67(フリー得点146.91、SP得点86.76)
11位 田中刑事
総合得点232.42(フリー得点148.32、SP得点84.10)
12位 本田ルーカス剛史
総合得点225.22(フリー得点146.69、SP得点78.53)
13位 森口澄士
総合得点201.30(フリー得点125.16、SP得点76.14)
14位 片伊勢武
総合得点199.65(フリー得点130.33、SP得点69.32)
15位 須本光希
総合得点199.62(フリー得点131.07、SP得点68.55)
16位 大島光翔
総合得点195.04(フリー得点129.18、SP得点65.86)
17位 櫛田一樹
総合得点186.99(フリー得点114.62、SP得点72.37)
18位 石塚玲雄
総合得点178.01(フリー得点120.95、SP得点57.06)
19位 杉山匠海
総合得点174.40(フリー得点109.36、SP得点65.34)
20位 吉岡希
総合得点170.57(フリー得点97.63、SP得点72.94)
21位 山隈太一朗
総合得点170.56(フリー得点115.45、SP得点55.11)
22位 長谷川一輝
総合得点161.92(フリー得点105.06、SP得点56.86)
23位 鈴木零偉
総合得点158.69(フリー得点105.24、SP得点53.45)
24位 鈴木楽人
総合得点152.85(フリー得点97.85、SP得点55.00)
(※SP=ショートプログラム)

【ペア フリー 結果】

1位:柚木心結・市橋翔哉 総合得点115.72(フリー得点80.95、SP得点34.77)

(※出場は1組。すでに北京五輪の代表に内定している三浦璃来・木原龍一組は欠場)

男子シングル 羽生が最終調整

 羽生結弦選手は、後半のフリーの演技を前に午後2時前から試合会場でおよそ30分間の最終調整に臨みました。

羽生選手は、フリーの演技で跳ぶ4回転ジャンプや連続ジャンプを次々と着氷して調子の良さをうかがわせる動きを見せたほか、フリーの演技に組み込むことを明らかにしている世界で誰も成し遂げていない4回転半ジャンプの練習にも取り組みました。

フリーの演技で用いる和の楽曲をかけた練習では、ジャンプのほか、振り付けを入念に確認して本番に備えていました。

<4回転半ジャンプとは>
4回転半ジャンプ(=クワッドアクセル)は、世界で誰も成し遂げていない最高難度のジャンプです。国際スケート連盟が定めている基礎点は12.50です。
3回転半ジャンプ、トリプルアクセルの基礎点8.00よりも大幅に高く、現在、世界のスケーターが実施できるジャンプのうち、最も基礎点が高い4回転ルッツの11.50よりも1点高く設定されています。

クワッドアクセルは、その難度の高さや練習での体の負担などから習得に挑戦する選手はほとんどいませんが、羽生選手は、ピョンチャンオリンピックでオリンピック2連覇を達成したあと、次の最大の目標にこのジャンプの成功を掲げました。

その理由について、羽生選手はこれまで
「アクセルは王様のジャンプ」
「4回転半ジャンプや5回転ジャンプを跳びたいと思っていた小さい頃の自分に突き動かされている」
「限界と勝手に決めつけてしまっている自分を超えたい」
など、様々な形でこのジャンプに向けた強い思いを口にしてきました。

【最終日の見どころ】

 北京オリンピックの代表枠「3」を争う男子シングル。今大会の優勝者が最優先で代表に内定する。
前半のショートプログラムでトップに立った羽生結弦選手。右足首のケガで今大会が今シーズンの初戦となったが、ショートプログラムでは、3つのジャンプをミスなく決めるなど圧倒的な演技を披露。2位の宇野昌磨選手に10点近くの点差をつけてトップに立った。
後半のフリーでは、演技の冒頭で挑むと見られる4回転半ジャンプを世界で初めて成功させることができるのか。そしてオリンピック出場を勝ち取ることができるか注目される。ペアは、すでにに三浦璃来選手と木原龍一選手のペアが今シーズンの成績などから北京オリンピックの代表に内定。柚木心結選手と市橋翔哉選手のペア、1組だけの出場となる。

北京オリンピックの代表選考基準

 北京オリンピックのフィギュアスケートの日本の代表枠は、男女のシングルがそれぞれ3枠、ペアとアイスダンスはそれぞれ1枠です。
このうちペアは、三浦璃来選手と木原龍一選手のペアがすでに代表に内定しています。【男女シングル 代表選考基準】
1:全日本選手権優勝者を選考。
2:以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して1名選考。
A 全日本選手権2位、3位の選手
B ISU(=国際スケート連盟)グランプリファイナル出場権獲得者(男子:鍵山優真選手・宇野昌磨選手、女子:坂本花織選手)
C 全日本選手権終了時点でのISUシーズンベストスコア上位3名(男子:宇野選手・鍵山選手・佐藤駿選手、女子:坂本選手・三原舞依選手・宮原知子選手)
3:以下のいずれかを満たす者から総合的に判断し、1、2で選考された選手を含め
3名に達するまで選考。
A 2のA、B、Cに該当し、2の選考から漏れた選手
B 全日本選手権終了時点でのISUワールドスタンディング上位3名
C 全日本選手権終了時点でのISUシーズンワールドランキング上位3名
D 全日本選手権までに派遣した国際競技会、および(日本スケート連盟の)強化部が指定した国内競技会におけるシーズンベストテクニカルスコア上位2名【アイスダンス】
以下のいずれかを満たす組から総合的に判断して選考する。
A 全日本選手権最上位組
B 全日本選手権終了時点でのISUワールドスタンディング最上位組(小松原美里選手・小松原尊選手組)
C 全日本選手権終了時点でのISUシーズンワールドランキング最上位組(村元哉中選手・高橋大輔選手組)
D 全日本選手権終了時点でのISUシーズンベストスコアの最上位組(村元選手・高橋選手組)※最終選考会である全日本選手権への参加は必須。ただし、過去に世界選手権で3位以内に入賞した実績のある選手が、けが等のやむをえない理由で全日本選手権へ参加できなかった場合、不参加の理由となったけが等の事情の発生前における同選手の成績を上記選考基準に照らして評価し、大会時の状態を見通しつつ、選考することがある。