【ニューヨーク=中山修志】米企業の間で、従業員への新型コロナウイルスのワクチンの接種義務を撤回する動きが広がっている。スターバックスやゼネラル・エレクトリック(GE)は20日までに、従業員への接種義務を取り下げた。米連邦最高裁がバイデン政権によるワクチン義務化を差し止めたことを受けた措置。
スターバックスは18日に従業員に宛てたメールで、ワクチンの接種義務を取り下げると通達した。複数の米メディアが報じた。同社は米国の約22万人の従業員に2月初旬までにワクチン接種を完了するよう求めていたが、この方針を撤回した。
ジョン・カルバー最高執行責任者(COO)は従業員へのメールで「裁判所の判断を尊重する」と説明。一方、未接種の従業員には「接種を強く奨励する」と呼びかけた。
GEも最高裁の判断を受け、昨年12月に決定したワクチンの接種義務を撤回した。スターバックスと同様、従業員には「推奨」というかたちで接種を促していくという。
バイデン米政権は昨年9月、100人以上の企業に従業員へのワクチンの接種を実質義務化する感染予防策を打ち出した。全米で約8400万人が対象となる大規模な施策だったが、連邦最高裁は13日、政府当局には企業にワクチン接種の義務を課す権限はないとして差し止めた。
米雇用機会均等委員会(EEOC)は、企業は自社の判断で従業員にワクチン接種を義務づけることができるという指針を示している。金融や航空業界では独自の判断で接種を義務付けている企業が多い。シティグループはワクチン義務を堅持しており、従わない場合は免職を含む厳しい措置を設けている。
一方、従業員の反発をおそれて義務化をためらう企業も多く、昨年11月の米民間調査では義務化している企業は2割以下にとどまった。オミクロン型の拡大で人手不足の懸念が強まるなか、企業はワクチン接種に関して改めて自主判断を求められる。
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