感染者の内訳を見ると、20代が1912人、30代が1540人と若い世代が多くを占めていることが分かります。
医療提供体制については、第6波と比べると病床数が減ってきているので単純比較はできませんが、東京都のオミクロン株の特性を踏まえた重症者用病床使用率は5.0%(21人/420床)。第6波のピーク時(2月19日)は35.1%(263人/750床)でした。
◆感染症学が専門の国際医療福祉大学・松本哲哉主任教授に聞きます。
【感染“急拡大”で重症者は】
(Q.感染者数が一気に増えた印象ですが、どう見ますか?)
5日の5000人、6日の8000人超えというのは、驚異的な数字で、確実に増えていると思います。私は6日に、外来をしましたが、陽性率が6割になってきました。今までとは違うフェーズに入ったかなと肌で感じています。
感染した方の話を聞いてみると「自分の家族が感染したから来ました」という方もいますが「自分がどこで感染したか思い当たるふしがない」という方も結構います。それだけ、市中に感染が広がっていて、知らず知らずのうちに感染している人も結構いる感じがします。
(Q.このままの勢いで感染拡大すると、医療ひっ迫は起こり得ますか?)
オミクロン株が急に広がった時は、重症者・死亡者が増えました。ただ、その時にはオミクロン株に対する免疫があまりない状況で感染が拡大しました。今はある程度ワクチンも打たれていて、感染者がそこそこいたなかでの広がりです。今このタイミングで感染者が急に増えても、いきなり重症者が増えることはないのではないかと思います。
【なぜワクチン接種も“感染増”?】
感染急増の一因に、オミクロン株『BA.5』への置き換わりが指摘されています。
感染者のワクチン接種状況を見ると、6日東京都で感染が発表された8341人中、3~4回目も含めて2回以上接種している人は5218人でした。
(Q.ワクチンを接種していても感染者が多い状況をどう見るべきですか?)
・ワクチンを2回までしか接種していない人は、去年接種した人が多いと思います。時間がだいぶ経っているので、残念ながら抗体価は下がっていて、感染しているのだと思います。
3回目を接種した人でも感染している人がいます。そうなると、もう感染予防効果はないと思われるかもしれません。確かにオミクロン株に対して、感染そのものをワクチンによって防ぐことは期待できないと考えます。
ただ、ワクチンに意味がないという訳ではなく、重症化予防や症状を軽くする効果、後遺症の軽減といった効果はまだ期待できます。
(Q.『BA.5』が主流になっていくと、今のワクチンはどういう立ち位置になっていきますか?)
新たな変異株は、これまでのワクチンの効果をすり抜ける新たな変異ということで、どんどんワクチンの効果を下げる変異株が出てくると思います。『BA.5』もその典型ですし、このまま同じようなワクチンをずっと打ち続けていくと、効果が期待しづらくなるかもしれません。
ファイザーやモデルナはすでに作ろうとしていますが、オミクロンに特化したワクチンなどを導入することで効果を上げていくことが大事だと思います。
【想定内なら“時短要請”行わず】
感染者急増について、東京都の幹部は今後、去年夏の第5波のようなカーブを描きながら、一日あたり2万人程度の感染者数になると分析しています。
都は重症者数や病床使用率の推移が想定の範囲にとどまれば、飲食店への時短や休業の要請は行わない考えです。
【今年の夏 どう過ごせば?】
政府は、新しい観光需要喚起策『全国旅行支援』の開始時期について「7月前半中判断をしていきたい」という考えを示しています。
(Q.コロナと経済活動の両立を図るなかで、この夏をどう過ごすべきですか?)
少なくとも感染が拡大したから自粛しましょうという流れではないと思います。ただ、例えば、重症化リスクを抱えている人、ワクチン接種をまだしていない人は、まだ慎重に行動した方が良いと強調したいと思います。
それ以外のことについては、個人個人が自分でリスクを考えながらに判断していくことになると思います。
特にこれから夏になると、熱中症の関係もあるので、マスクをどのタイミングで外すのかということも個人個人が判断しなければいけません。
暑いなかでの換気の徹底なども配慮しながら、自分が置かれた立場を考えながら、感染対策をやらなければいけないところはしっかりやりながら、夏を過ごしていく必要があると思います。
[テレ朝news]
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